こちらは随分昔から契約しているアットホームなアットホームな人たちが働いている素敵な会場です。鈴鹿サーキットの近くにあり、館内には意表を付かれる地下礼拝堂をイメージしたような黒いチャペルがあります。会場は広く、長い階段が中にあります。Bride'sさんの運営される会場は合理的な導線を考えて作られており、いつも感心させられます。今回は会場のコーディネートを2種類撮影です、以前に撮影したアングルと同じアングルで、という依頼でした。モデルの撮影、外観の撮影と色々ありましたが、会場全景の撮影の話をします。
クライアントからのオーダーは同アングルで、というものです。ですが、お花の形状や、カラーによりLightingの種類は変わるものです。以前に撮影した時はタングステンでスタンダードに入れていました。最初のコーディネートは白基調でスタイリッシュなお花主体だったのでストロボでのLightingでイメージしました。全体的に白く仕上げるために、通常は光を廻し気味に使っていくのですが、卓上を目立たせたいために色補正用のライトは使わず、色温度はパソコンで整える方法を選びました。タングステン照明下のストロボ使用は当て方や強弱に注意をしなくてはきれいに見えません。スタジオであれば色は揃えるものですが、会場の撮影には出来ない場面が多く、やはりレタッチを含めて考えを組み立てていきます。二番目のコーディネートは黄色です。背の高めのお花でジュリアさんらしさ出ている感じです。こちらは色温度を約4200近辺に設定したタングステンにてGAという新技でLightingをしました。どんな技かはお伝え出来ませんが、この職業で生きる人は必ず自分の技を持ち、自分の中に存在する夢のようなLightingを追い求めています。
今回の話のコアはここにあります。差や違いといったものはわずかだと思っています。コロンブスの卵の話をよくスタッフにします。一度見たら簡単に出来る、というあの話です。
ただ最初に気づくかどうか、が進歩には大切です。新しい表現にどのようなアプローチであれ挑んでいかなければ、進歩は止まります。私の尊敬するある写真家は『失敗と成功の狭間に自分を追い込む。』と話しておられました。わかっていてもつい楽をしてしまうのが人間です。でも追い求めている夢、理想、そんなものが普段から持っていさえすれば楽を選ぶのではなく、選択肢を選ぶ、に変わります。
今回のジュリアさんの撮影は約15枚の合成にて作ります。手間をかかりますが、手間は愛情だと思います。自分の作るものにそれを省くことは出来ないものです。
JULIA WEDDING STAGE