試行錯誤を繰り返していた料理撮影もようやく一つの方向性を持ってきている。以前に話をしているが私には最初料理を撮ることが苦手だった。今でもその意識は変わらない。ただ、クライアントからのリクエストに応えること、アレンジをして行くことは出来る。複数のお皿が整然と並ぶタイプのコース撮影は6th HOTELSの撮影の話で伝えているが編み出した技により飛躍的に立体的に撮影が出来るようになった。
FOODの撮影にはHMIとストロボを併用している。定常光はやはり被写界深度の調整に適している。ストロボも調光すればいいのだが拡散することが嫌でかなりの至近距離から生光を使っている。575w/sのHMIの定常光はコントラストのイメージによりディフューザーの周りを移動している。数々の広告撮影での要望に応えるために培った技が生きている。大きく作ってハイライトを変化させる方法を作ってやればいい。
多くの写真家が多くの技や方法論を編み出し、ネット社会の今そのノウハウをすぐに知ることができる。ただ、私はやはり独自性にこだわりたい。同じことをやっていてもそこに違いを作る意志がなければ写真はつまらないものに変わっていくと信じている。だからいつも課題だらけである。
コロンブスの卵。時間を止めること。私の撮影の軸はこの二つです。
フジヤさんの料理撮影にはもう一つやらなければならないことがある。料理単価を引き上げること。どんな売り手もいいものを売りたい。質、味、満足度、評価、利便性、流行、様々な理由がある。私の仕事も同じでその目的が達成されることが目標である。撮った写真が数ヶ月、一年、先の結果を導いてくれるように新しい事、難解なことに向かいたい。
今回の話のコアはここにあります。
私が嫌うのは自己満足。撮るまでが仕事であり、その後の結果は自分の領域を離れる。だから撮影を過去の実績や同じスタイルでやりたくない。また、結果に不安でいたいと思っています。不安を一つ、また一つ減らして行く事が最善の結果を生むと信じているためです。自分の撮影で不安なことは何ですか?
そこに私はこれからの時間を費やしていこうと思います。
THE FUJIYA GOHONJIN