プロジェクションマッピング。東京駅・丸の内駅舎の復元の際に大々的に報道されていたものをブライダル会場でも使い始めている。個人的に好きなものである。豊富な光量を持ち、ブルーレイディスクが当然一時停止出来るため撮影に困ることはない。ただ、ムービーであればマッピングだけで動きがあるためより撮影しやすいのだが写真は少し違うものも描かなくてはならない。マッピングの性質上廻りを暗くしての演出となり、広告媒体に載せるにはやや説明が必要。今回の撮影は綺麗なステンドグラスのある祭壇向きではなく、入場の扉向きのためディテールをどう入れ込むかが新しくプロジェクトマッピングを入れたチャペルの広告媒体になり得るかどうかを考えることになった。
結果室内照明ではフラットになりイメージする陰影が出ないためタングステンを6灯と一部の室内照明を調光して撮影している。ステンドグラス一杯まで引き、圧縮でマッピングを大きく、引いた事で祭壇、バージンロード、お花、対面式椅子、シャンデリアを適量入れている。小物で聖書を絡めてイメージを作った。
今回の話のコアはここにあります。
何百もの会場を撮影していると本当にその多様性に驚く。繭をイメージしたチャペル、地下にあるT字のレンガ造りのチャペル、最高の景色を有する超パノラマの式場、ボールを投げても届かないだろう大聖堂系、チャペルを組換えてウェイティングの部屋となるチャペル。きりがないが撮っているカメラマンは同じであるところに問題があるんです。使える技術、イメージを創る力、使用機材。そんなものが変化率と同期しているこの職種はやはり恐ろしい。
変化率。自分の写真が絶えず変化をしていること、自分の悩みや課題、欲求が変化していること、機材が変化していること、など、仕事に必要なものとしてはかなり重要なもの。
私の会社のスタッフにも言い続けていますが、一発芸で勝負する芸人は終わりが早いものです。どうすればいいか。常に自分の欲求を大切にすることです。
欲はなくなりません。以前にも書いていますが自分に凄い自信を持つ歴2、3年のカメラマンをよく見ます。人の勝手なんでしょうが私の会社のスタッフにはそうさせません。小さな満足よりも、難しく、困難で、大きくて、いつ越えられるかもわからないようなものに挑戦していく欲を持ち続けさせてやりたいと思います。
もう10年ほど前、徳島県にプリントを出していました。前撮りの発祥地でもある徳島県に凄いラボマンがいました。取引先には多くのメジャーな写真館、スタジオが並び、私も精一杯撮影をしては綺麗なプリントが仕上がってくる日を楽しみにしていました。ある日電話でその方と話していた折、変化率は今1番なんじゃないか、と嬉しい言葉を貰いました。
もうデジタルになり疎遠になってしまいましたが、またお会いする機会があれば私はそう言ってもらえるかどうか、だからやっぱり私も自分の欲をしっかり持ち続けていこうと思います。
THE GRAND TIARA OSAKA