- 2014年10月31日
- PENTAX645Z ムック本 出品の機会
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尊敬する人から勧められた思いも寄らない話だった。活動拠点が本社のある京都を軸とした関西のため、こういう話は来ないものと思っていた。日本の経済の7割を越えるシェアが東京に集中しているという。全てのものが東京を中心に動いている今、私には東京は頼まれて行くくらいであくまで関西で楽しく仕事をしている。だから驚いた話だった。中判67での撮影が得意だった私には35ミリでの撮影は物足りない。癖のものだがファインダーの中で綺麗と思いたい。そんな時645Dに出会った。それから進化した645Zはモンスターマシンになっている。月並みな種類のコメントは省くが、私はファインダーの中で綺麗と思えるこのカメラを信頼したい。意志を早読みするカメラになってくれそうな気がしている。「んー、高坂さんはWeddingでKyotoらしさとか出したらいいんじゃない?」「分かりました。」打ち合わせに行った日、東京は凄い雷と豪雨だった。新幹線が運転を見合わせ、在来線の各駅は帰宅を急ぐ人達で混雑を極めていた。そんな大事態も気にならないくらい私は撮りたいものを探していた。三週間後、鴨川で和装をレンタルし、15年来の信頼するスタイリスト、私の気持ちを気持ち以上に考えてくれるフローリスト、私の代わりに鴨川に入ってライティングをしてくれるアシスタント、みんなの協力があって撮影を完了することが出来た。今回このお話を頂き京都の「らしさ」は表現出来たと思っている。京都人のイメージする京都は夏と冬にあり、それぞれ蒸し暑い中に冷を感じるもの、寒い冬に冷を感じるものを美しいと見る気持ち、そういった複雑で矛盾したものにある。「昭和」。まだデジタルではなかったあの時代、何故か不便であっても懐かしく美しい。 私の写真も常に複数の矛盾するものを有する、見る人にとって何かを感じてくれる深さを持った写真、そんなものを大切に思って行こうと思う。この機会を与えて下さった小林幹幸さん、感謝致します。
髙坂 宗志